
近年のIT業界はクラウド、AI、IoTといった技術革新により、急速に領域を拡大しています。企業が求める人材像も多様化し、IT業界は注目度の高い成長産業となっています。
このような背景の中、SES営業にはIT職種やスキルへの理解が不可欠です。案件にマッチしたエンジニアを提案するためには、技術面だけでなく、職種ごとの役割や業務範囲を把握しておくことが欠かせません。
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IT企業と多様な事業領域
IT業界は、システム開発をはじめ、通信、Webサービス、ハードウェア、クラウド、マーケティング、コンサルティングなど非常に幅広い分野で構成されています。そのため、一言で「IT企業」といっても、事業内容や関わる技術領域はまったく異なるケースが多いのが特徴です。
「職種の違い」を理解する重要性
IT業界では、同じプロジェクトに関わっていても、エンジニアが担う役割や職種が大きく異なります。SES営業としてこうした職種の違いを理解していないと、案件に対して不適切な人材を提案してしまったり、エンジニアとのミスマッチが発生するリスクが高まります。逆に、職種ごとのスキルセットや業務範囲を把握しておけば、信頼される営業パートナーとしての提案をしやすくなります。
IT職種の大分類と概要
IT業界にはさまざまな職種が存在しますが、大きく分けると以下の5つに分類できます。
開発職
開発職は、IT職種の中で最も求人数が多く、SES案件でも特にニーズが高い領域です。
システムやアプリケーションの設計・開発・実装・テストを担当します。
代表的な職種:
- システムエンジニア(SE):要件定義や設計など、上流工程を担う
- プログラマー(PG):仕様書に基づいてプログラムの実装を行う
- アプリケーションエンジニア:業務系アプリケーションの開発を行う
- フロントエンドエンジニア:Web画面のUI実装する(HTML/CSS/JavaScriptなど)
- サーバーサイドエンジニア:バックエンドの処理やAPI開発をを行う
- 組み込み系エンジニア:家電や自動車などの制御システムをを行う
マーケティング職
マーケティング職は、市場やユーザーの動向をデータ分析し、戦略立案や改善提案を行う職種です。特にWeb業界では、Webマーケターやデジタルマーケターのニーズが年々高まっています。
代表的な職種:
- Webマーケター:広告運用やSEO、SNS運用など
- データアナリスト:アクセス解析や売上分析などを担当
- CRM担当:顧客との関係性を管理・最適化する業務
マネジメント職
マネジメント職は、プロジェクトの計画から進行管理、品質・コスト・納期の管理までを担う職種です。チームを束ねる立場として、コミュニケーション力や管理スキルが求められます。
代表的な職種:
- プロジェクトマネージャー(PM)
- プロジェクトリーダー(PL)
- スクラムマスター
コンサル職
コンサル職は、クライアントの経営課題をITで解決するための提案・改善を行う職種です。上流工程に位置し、経営層とやり取りすることも多いのが特徴です。
代表的な職種:
- ITコンサルタント
- 業務コンサルタント
- DXコンサルタント
営業職
営業職は、ITサービスやプロダクトを法人・個人のクライアントに提案・販売する役割を担います。
代表的な職種:
- IT営業:ソフトウェア、ハードウェア、クラウドなどの提案営業
- プリセールス:営業支援として技術面の説明・提案を行う
- カスタマーサクセス:サービス導入後の支援・継続的な価値提供を行う
IT業界の5つの分類
IT業界は非常に広範囲にわたる産業構造を持っており、企業の役割やエンジニアの活躍フィールドも異なるため、SES営業として業界ごとの特徴を理解することは非常に重要です。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界は、コンピューターやスマートフォンなどで動作するアプリケーションやシステムの開発・販売を行う分野です。日常的に使用する業務系アプリケーションからOS、業務システム、クラウドソフトウェアまで対象は多岐にわたります。
代表的な製品・企業:
- OSやオフィスソフト:Microsoft(Windows、Office)
- 業務系ソフトウェア:Oracle(データベース管理)、SAP(ERPシステム)
- 国産ソフトウェア企業:SBテクノロジー、サイボウズ(グループウェア)、ジャストシステム(一太郎)
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、コンピューター本体やスマートフォン、周辺機器、家電製品などの物理的な機器の設計・製造・販売を行う分野です。近年ではIoTデバイスや半導体の開発も注目を集めています。
代表的な企業:
- Apple(iPhone、Mac)
- Samsung(Galaxy、半導体)
- Sony(PlayStation、センサー技術)
インターネット業界
インターネット業界は、Webサービスやプラットフォームを提供する分野で、検索エンジンやSNS、EC、動画配信などが含まれます。BtoC向けサービスが多く、変化が速いのが特徴です。
代表的なサービスと企業:
- Google(検索エンジン、YouTube)
- Amazon(ECサイト)
- Meta(Facebook、Instagram)
- Netflix(動画配信)
- 国内企業:ヤフー、楽天、LINEなど
通信業界
通信業界は、音声通話やデータ通信などのインフラを提供する業界で、スマートフォンの普及とともに大きく成長してきました。現在は5G、IoT、スマートシティといった次世代技術の中心的存在でもあります。
主な企業や分野:
- 通信キャリア:NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク
- 通信機器メーカー:Cisco、富士通、NECなど
情報処理サービス業界
情報処理サービス業界は、クライアントのシステム開発・運用・保守を請け負う業界で、SIer(システムインテグレーター)とも呼ばれます。企業の業務システムを支える重要な役割を担っており、SES案件の多くもこの領域から発生します。
代表的な企業:
- NTTデータ、富士通、日立製作所、野村総合研究所(NRI)
案件の職種・業界別に見る技術要件の読み解き方
職種ごとに異なる「求められるスキルの粒度」
SES営業の現場では、プログラミング言語の経験年数やインフラ構築、開発に関する記載など、技術的な要件が明記されていることが多くあります。しかし、こうした要件も、募集されている職種や案件の業界によって、求められるスキルの深さや範囲には違いがあります。
バックエンドエンジニアの募集案件で「特定言語の実務経験」が記載されている場合でも、その背景にある期待値は案件によって異なります。
たとえば、既存システムの保守や軽微な改修が中心の案件であれば、言語の基本的な理解があれば対応可能なケースもありますが、一方で、システム全体の構築や設計、運用フェーズに主体的に関わることが求められる案件では、より深い実務経験が前提とされていることもあります。
他にもフルスタックエンジニアを求める案件では、フロント・バック両面の技術に加えて、周辺システムとのデータ連携やAPI設計、さらにはチームを横断して動けるようなプロジェクト全体を見渡す視点まで求められる場合もあります。
業界による求められるスキル傾向の違い
案件の業界によっても、スキルの深さや周辺知識の必要度が変わります。
業界 | よくある要件 | 補足して読み解くべきポイント |
金融系 | Java、COBOL、セキュリティ要件 | 高いセキュリティ意識、保守性の高いコードが重視される傾向 |
ECサイト系 | PHP、Laravel、JavaScript | 負荷対策、ユーザー体験を意識したフロント開発も含むことが多い |
スタートアップ | React、Firebase、GitHub | 自走力やフルスタック性、柔軟な対応力が問われる場合が多い |
SES営業のチェックポイント
- 要件に書かれていない部分も推測する力が必要
たとえば「フロントエンド開発」と記載がある場合でも、案件が属する業種やプロジェクトの特性によって、必要となる経験やスキルが異なるため、それらを考慮しながらマッチする人材をイメージすることが大切です。 - 技術ワードの“背景”や“目的”を読み取る姿勢が大切
なぜこのスキルが必要なのか?どんなシステムで使われるのか?まで意識すると、より的確なマッチングが可能になります。
IT業界の職種や分類を理解することで営業の幅を広げよう
IT業界の職種や分類を体系的に理解することで、SES営業の「引き出し」は大きく広がります。エンジニアと企業、双方のニーズに的確に応える営業になるためには、常に最新のトレンドにもアンテナを張っておくことが重要です。
IT業界では、AI、IoT、クラウド、DevOpsなど、技術革新のスピードが非常に速く、新しい職種や役割も次々に登場しています。
業界ニュース、エンジニアの発信、技術カンファレンスの動向などを日常的にチェックすることが、知識のアップデートと信頼構築につながります。
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