SESとは?SES営業が知っておくべき基礎知識と提案のコツ

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SESとは?SES営業が知っておくべき基礎知識と提案のコツ

IT業界の人材不足が深刻化する中、SES(システムエンジニアリングサービス)の需要は年々高まりを見せています。そんなSESですが、基本的な仕組みや働き方がどんなものなのかをきちんと理解できていますか?
この記事では、SESの基本からSES営業に求められるスキルや提案のコツ、よくある課題とその乗り越え方までを解説します。
これからSES業界に足を踏み入れる方も、すでにSES業界の経験がある方も、ぜひ本記事を通じてSES営業としての基本をおさらいしてみてください。

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SESとは?基本的な意味と定義

SES(システムエンジニアリングサービス)の概要

SES(System Engineering Service)とは、契約で定めた期間、クライアントに対してエンジニアの技術力や専門スキルを提供するサービスです。エンジニアがクライアント先に常駐し、システム開発やインフラ運用・保守などの業務を支援する形態です。成果物の納品を目的とせず、業務遂行に対して報酬が支払われる点が特徴です。

SES契約(準委任契約)の特徴

SES契約は準委任契約に該当し、成果物ではなく業務の遂行に対して報酬が発生します。
エンジニアに対する指揮命令権は基本的にSES企業にありますが、実際の現場ではクライアントと相談をしながら業務を行うことが一般的です。

SESの仕組み

SES企業は、クライアントのニーズに合ったエンジニアを提案し、契約後は現場に常駐させることで、システム開発や運用保守などの業務を支援します。案件の獲得から契約、エンジニアのアサイン、稼働中のフォローアップに至るまで、営業と現場が連携しながらプロジェクトを円滑に進めていく仕組みとなっています。

SES案件の流れ

①クライアントとの案件についてのヒアリング
まずは、クライアント企業の課題やニーズ(例:Javaエンジニアが2名ほしい、Reactの開発経験がある人を急募など)をヒアリングします。ヒアリング内容を的確に把握することで、後工程の「エンジニアの選定」が大きく向上します。

② エンジニアの選定と提案
クライアントの要望に応じて、社内エンジニアや協力会社、フリーランスの人材をピックアップし、スキルシートを作成・提出します。その後、クライアントとエンジニアとの顔合わせ(Webまたは対面)を設定し、合意が得られれば契約調整へ進みます。

③ 契約締結と参画準備
契約が成立したら、準委任契約書の締結を行い、必要に応じて機密保持契約(NDA)なども取り交わします。その後、常駐初日に向けて当日の入館方法や持ち物など細かな常駐の方法の確認を行います。
営業担当は、エンジニアの不安を払拭し、スムーズな初日を迎えられるようサポートしましょう。

④ 常駐後のフォローアップ
エンジニアが現場に参画した後も、営業の役割は終わりません。クライアントやエンジニアと定期的な面談や電話連絡を通じて、稼働状況や業務内容の変化を把握し、契約更新や条件見直しに備えます。

契約期間や稼働条件

SES案件の契約期間や勤務条件は、プロジェクトの内容や規模、フェーズによって大きく異なります。営業担当は、契約の柔軟性や更新タイミングを正確に理解し、エンジニアの希望とすり合わせながら提案する必要があります。

契約期間
SES案件の契約期間は、短期(1〜3ヶ月)、中期(3〜6ヶ月)、長期(半年〜1年以上)に分かれます。短期はテストフェーズや急な人員補填、中期は開発の中心フェーズ、長期は運用・保守や基幹システムの管理などが多く、継続的な参画が期待されます。
多くの場合、初回は1〜3ヶ月の「お試し期間」として契約され、現場との相性を見ながら延長されるケースが一般的です。

稼働条件
出社が必要な場合は常駐先企業の労働条件に合わせるのが一般的です。リモートワークも普及しており、フル出社からハイブリッド、フルリモートまでさまざまな形態があります。まれにシフト勤務が求められる案件も存在します。
営業担当はこれらの条件を把握し、エンジニアの希望と丁寧にすり合わせることで、稼働後のトラブルを未然に防ぐことが求められます。

SESとSI(SIer)・派遣の違い

「SES」と、似ているようで実は異なる「SI(受託開発)」や「派遣」との違いを正しく理解しておきましょう。それぞれの契約形態の特徴を比較しながら解説します。

SI(SIer)との違い

SI(System Integrator)は、クライアントの課題やニーズに基づき、要件定義〜設計〜開発〜テスト〜運用・保守などを一括で請け負う請負契約です。成果物(完成したシステムなど)の対価として報酬が発生します。
一方でSES(System Engineering Service)は、特定の工程や作業を支援するために人材(エンジニア)を業務委託する契約(準委任契約)です。基本的には成果物の納品義務はなく、期間中の作業や稼働時間に対して報酬が発生します。

派遣との違い

派遣契約は、労働者派遣法に基づき、派遣元が労働者を派遣し、派遣先が直接指揮命令を行う契約です。これは「労働力の提供」に該当し、契約管理や法的制約が非常に厳しく定められています。

一方、SES契約(準委任契約)では、業務の指揮命令権はSES企業側にあり、エンジニアは業務の遂行を委託されている立場となります。

SESの良い点・悪い点

SESの良い点

多様な現場で経験を積める
SESでは、さまざまな企業やプロジェクトに関われるため、業界・技術・職場環境など多様な経験を積むことができます。エンジニアにとってはスキルアップの機会となり、営業にとっては現場ごとに違った特徴やニーズを把握することで提案力を高めることができます。

実践を通じたスキルアップが可能
クライアント先での実務を通じて、エンジニアは技術力に加えて、ビジネススキルやコミュニケーション力も自然と鍛えられていきます。こうした現場での成長は、営業にとっても非常に重要な視点です。どのような環境が人材育成につながるかを理解することで、より的確なマッチングや提案力の向上につながります。

未経験からでもスタートしやすい
SESでは、育成を前提とした案件やサポート体制が整ったプロジェクトもあり、未経験者でも挑戦しやすい環境があります。企業としての育成力が問われる場面でもあり、営業と現場の連携によってスムーズな成長支援が可能になります。

SESの悪い点

客先常駐による孤独感や帰属意識の希薄化
エンジニアが常駐先で働くスタイルは、周囲との関係性が築きづらく、所属企業への帰属意識が薄れやすいという側面があります。そうした状況を放置するとモチベーション低下や早期離職の原因となるため、営業側は現場訪問や定期的な面談を通じて状況を把握し、信頼関係を築くことが重要です。組織としての一体感を保つためには、日頃のフォローアップが不可欠です。

キャリアの見通しが不透明になりやすい
短期案件や単調な業務を繰り返すことで、エンジニアが自身のキャリアの方向性に不安を抱くケースもあります。特に成長実感が持てない環境では、将来像が見えづらくなることがあります。営業としては、単に案件を埋めるのではなく、その人のスキルや志向に応じた中長期的なキャリアを意識した提案を行い、「この案件でどんな経験が得られるのか」を明確に伝えることが求められます。

SES営業の役割とは?顧客とエンジニアとの橋渡し

エンジニアのキャリアを理解したマッチング提案

SES営業にとって最も重要なのは、エンジニアのキャリアプランや価値観を把握し、それに合った案件を提案することです。ただスキルマッチだけを見るのではなく、「この案件を通じてどんな経験が得られ、将来的にどんな道へ進めるか」といったキャリアの文脈を含めた提案が、信頼構築に直結します。
たとえば、「アプリ開発にチャレンジしたい」「上流工程に携わってPMを目指したい」といった希望に対し、段階的にスキルアップできる案件をロードマップ的に提案できると、エンジニアの満足度と定着率も高まります。

クライアントニーズの深掘りと提案スキル

案件情報を受け取る際、SES営業が意識すべきは「スキルセット」だけではありません。クライアントの業務課題、チームの構成、求める人物像、過去にミスマッチが起きた理由など、深くヒアリングすることで、単なる人材紹介ではない「課題解決型の提案営業」が可能になります。
たとえば「自走できるエンジニアが欲しい」と言われた場合、その背景にあるのは「担当者が忙しくて教育に時間が割けない」といった組織課題かもしれません。そうした文脈を把握してこそ、適切な人材提案やマッチングの調整が行えます。

現場フォローと信頼構築の重要性

アサイン後のフォローは、SES営業にとって重要な信頼獲得の場です。
エンジニアの不安や悩みを早期に拾い上げ、必要に応じてクライアントと調整することで、離職や案件トラブルを未然に防ぐことができます。
また、クライアントとの信頼関係も、トラブル時の迅速な対応や、適切な課題解決案の提案などから構築することができ、次回以降の案件依頼にもつながります。
営業が「エンジニアの味方」「クライアントの相談相手」として認識されることで、三者の橋渡し役としての価値が最大化します。

SESの仕組みを正しく理解して、SES営業としての価値を高めよう

SES営業が価値ある提案を行うには、SESというビジネスモデルの本質を深く理解することが前提です。仕組みだけでなく、現場で何が起きているのかまで把握することで、営業としての信頼が高まります。

最後に案件提案の精度とスピードを上げたい方は、マッチングツールなどの活用を検討してみてください。効率的な情報管理と提案プロセスの最適化は、営業成果に直結します。

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